寒い季節を心地良く過ごすための、暖か素材に関するお話の第2弾です。
前回のアルパカに引き続き、私たちがこの冬に注目している暖か素材は「キャメル」です。
ふたこぶラクダの毛であるキャメルは、一体どんな素材なのでしょうか?
ふたこぶラクダは、年に1度、晩春に脱毛をします。
その毛を拾い集めて使用しているのがキャメル素材。
そのため、採取量は極めて少なく、羊毛の0.14%程度言われています。
日本では、カシミアに比べ知名度の低いキャメルですが、欧米では高級天然毛として高い評価を受けています。
モンゴルに生息するふたこぶラクダは、夏は45度、冬は−40度という、とても厳しい自然環境に置かれています。
厳しい自然から身を守るため、毛が非常に発達をしているのです。
その毛は、強靭で軽く、毛と毛の間に空気を含んで盛り上がる性質があります。
ラクダの毛は、中心にたくさんの穴がある多孔質繊維です。
そのため、十分に空気を含んだ毛は、捉えた体温を逃がさず、高い保温力を発揮します。
その保温力はウールを大きく上回ると言われています。
たくさんの空気を抱き込めるという性質は、肌触りの良さにもつながっています。
空気を含んでふんわりと盛り上がった毛は、弾力性があり、ふっくらと柔らかな心地良い肌触りとなります。
元に戻ろうとする反発性の高いラクダの毛は、フェルト化しにくく、長期間ふんわりとした肌触りを楽しんでいただけます。
多孔質繊維であるラクダの毛は、繊維の表面積が大きくなるため、吸湿性と発散性にも優れており、常に乾いた状態をキープできるという性質も持っています。
放湿力は羊毛の2倍と言われており、吸湿性は現存繊維の中で最も高く、40%前後の水分を吸っても濡れ感がないと言います。
言い換えると、汗をかいてもよく吸収し、濡れ感がないので蒸れないのです。
寒い冬、外では暖かく、暖房が効き過ぎた室内では汗をかいてもすぐに吸収し、放湿もしてくれるので蒸れず、汗が冷えて風邪をひくということがないのです。
ベビーキャメルとは、生後半年までの子供のラクダの毛を集めたもの。
1頭につき、一生のうちに1回だけしか取ることのできないその毛は、大人の毛以上に軽く、暖かで、よりふんわりとした柔らかな肌触りが楽しめます。
今回も実際に着て、試してみました。(続きは次回)