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「せつ」と「宇宴」 展

~ 2022年 8月 31日

「せつ」と「宇宴」のご夫婦は、互いに異なるものを制作しながら、互いのモノづくりを助け合う。

奥様の「せつ」さんが手がけるのは装身具
「アクセサリーではなく大切なひとのためのお護り」を作りたいのだという。

使われている水晶は、ご主人と一緒に山に分け入り、その昔、炭鉱の発掘で出た「ズリ(昔、鉱山の採掘で出た残土)」と一緒にうち捨てられたものを拾い集める。

昔の文献や地形図など、情報のかけらを集めて地図を作り、岩場を登り、川を越え、道なき道を進んで探す。

土の中で眠っていた水晶たちは、欠けていたり、小さかったり、「カンペキ」なものとは違う姿をしている。
彼女は言う「カンペキでないから、はみ出しているから惹かれるのだ」と。

丁寧に拾い上げた水晶たちを大切に手元に置き、時が来たら、それぞれに相応しい姿に作り上げる。
真鍮パーツなどを手がけるのはご主人で、ここでも夫婦は協働する。

ご主人の「宇宴」さんが手がけるのは古民具で作るスピーカー。

音響マニアのお父さんの元で育ち、オーディオ雑誌の編集者をしていたという彼は、進化心理学的なアプローチと音響理論に基づいてスピーカーを設計する。

ペリーの黒船が来航した年に作られた箱、足踏みミシンの引き出しなど、忘れ去られ、朽ちてゆく古民具たちを、かつての用途やアイデンティティを生かしてスピーカーに作り上げる。

歴史を重ねた古民具からは数値だけでは表せない魅力的な音が奏でられる。

ご主人に寄り添い、共に古道具を選び、組み上がったスピーカーに助言をしながらクリエイティブ面で手助けをするのが奥様。
ここでも夫婦は協働する。

社会が不必要としたものを丁寧に拾い上げ、新たな命を吹き込む「せつ」と「宇宴」。
二人三脚で歩み続ける二人が手がけた装身具と古民具スピーカーの展示会です。

開催概要

期間 2022年09月17日(土) ~ 09月25日(日) ※火水木曜日お休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 せつ / 宇宴
場所 poooL
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9, 105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

青木郁美 陶展

~ 2022年 8月 01日

故郷に戻り、生産農家として作物を育てながら、陶芸家として制作活動を行なっている青木郁美さん。
設計という仕事を離れ、農業と陶芸という新たなモノづくりの分野に踏み出された異色の経歴の持ち主です。

20年ぶりに故郷に戻り、今の暮らしを始めた時に見えた世界は、草花や空、身近なものの色の移り変わりが豊かで、懐かしいと同時に、仕舞い込まれていた子供の頃の心躍る気持ちを開封し、思い出させてくれるものだったと言います。

そんな彼女がご自身の制作活動について、「草花や泥んこでおままごとをしていた ”あの頃の感覚” に近いもの」と表現したのが印象的でした。

モノを作るということが人間にとってどれほど本質的なことで、「モノづくりの原点」が何かを教えてくれる言葉のように思いました。

「身近なものを見て心踊らせ、身近なものを使って物作りをしたい。
自然物のあれこれのような、どこか頑なだけど 軽やかで優しいものに少しでも近づけられたら。」

彼女の生み出すものたちは、そんな思いのままの「かたち」と「空気」を宿しています。

(身近なものでのモノづくり)

白い器にはりんご灰釉が使われています。
青木さんのご親戚がりんご農家を営んでおられ、剪定した枝をお風呂の焚付けに使い、できた灰をもらって釉薬にしているそうです。

瞑色と名付けられた青色のシリーズは、お庭の杉の木を薪にして、それをお友達の家の薪ストーブで灰にしてもらったものを釉薬として使っておられます。(着色には呉須を使っています。)
“ 瞑色 “とは、夕暮れ時の仄暗い空の色の名前だそうです。

今後は土や灰などの原料も、ご縁のある身近な人から頂いたものを使う割合を増やして行きたいとおっしゃっていました。

開催概要

期間 2022年08月20日(土) ~ 08月28日(日) ※火水木曜日お休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 青木郁美
場所 poooL
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9, 105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分