index_event

堀宏治 木工展 〜 素のホリ 〜

~ 2025年 4月 20日

「素のホリを見せたい。
 ホリの歴史を感じてもらえるような展示にしたい。」

そう堀さんは言いました。

自分の作風とはなんなのか?
本当は何がやりたいのか?

悩んだ彼が行き着いたのは「素のまま」ということでした。

自分自身が日常の中で使いたいもの。
大好きだった鎌倉の家(彼が昔住んでいた古民家)に似合うもの。
その家の、窓際に置かれたテーブルの上で、お気に入りの陶器たちと一緒に並べて使いたいもの。

そういう自分が作りたいものを、
流されることなく、飾ることなく作り続けること。

それが作家 堀宏治さんにとっての自分らしい道でした。

彼は今、初心に戻り、昔作ったものを作ってみたくなったと言います。

「10年前に作ったものを今作ってみたらどうなるか。
 前とは彫り方も違うし、ディテールも違うと思う。
 同じデザインであっても違うものになると思うんです。」と。

人が変わらずにいることができないものなのだとしたら、その人の手を通じて生み出されるものもまた、変わらずにいることなどできないのではないでしょうか。

そのことを、作家として身をもって感じたからこそ、「素」であることが、作家としての自分のアイディンティティだと思えるようになったのではないでしょうか。

そしてそれが、色や形のように分かりやすく、目に見えやすいものでないからこそ、
彼は「難しいことを考えず、感じて欲しい」というのだと思います。

作品に宿る「素」の堀さんを感じていただけたらと思います。

開催概要

期間 2025年5月3日(土) ~ 05月11日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 堀宏治
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩5分

村上祐仁 個展 〜 黒の幅、黒の奥行き 〜

~ 2025年 4月 07日

「今回の展示は黒をメインにするのはどうでしょうか。」
そんな私たちの問いかけに、村上さんは ”黒の中に幅を持たせる ” という形で応えてくれました。

どこか漆器を思わせるような、上品で重厚感のある「黒 × カラー」のシリーズ。
内側の黒と、外側のビビッドカラーが美しいコントラストをなす作品です。

内側に金属釉を施し、外は黒い化粧土を塗って仕上げた「黒 × 黒」のシリーズ。
朽ちた金属のような独特の表情を見せる内側と、外側のマットな黒の組み合わせが洗練された印象です。

村上さんというと、薄くてシャープな器という印象をお持ちの方も多いと思います。
今回、彼が新たに生み出したのは、粒々とした土の表情と、土ものらしい厚みが魅力の作品です。

「黒の中でどう幅を持たせるか」
そう思って作ったのだと彼は言いました。

小石などの混入物がある赤土を用い、黒の化粧土で仕上げたこの作品は、土の中の混入物が、焼成により化粧土を突き破って出てくることで独特の表情を生み出します。
(ベースの土と化粧土の収縮率の違いで生まれるそうです。)

土の温かみが纏った黒の洗練。
これまでの村上さんの作品にはなかった新たな黒のシリーズです。

今回の展示会では、そんな幅広い黒の作品たちに加え、定番の白い作品もご覧いただく予定です。

14日(月曜日)から、オンラインショップで一部の作品をご覧いただけます。

開催概要

期間 2025年4月12日(土) ~ 04月20日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 村上祐仁
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩5分

工藤由美 個展

~ 2025年 3月 09日

制約があること。
私たちはそれを、やりたいことを妨げるマイナス要因として捉えがちです。

しかし工藤さんに言わせると、制約があるからこそ作りたいものが見えてくるのだと言います。

「これ以上どうすることもできないくらい小さなハギレがある時、
 そこから始めるしかないからこそイメージが湧きやすくなる。

 前に入れたハサミの跡が布に残っている時、
 そこからハサミを入れるしかないからこそイメージが広がる。

 そうするしかない状況の中で工夫をするのが好き。
 (作る時には)いつも溜まっているもの(端切れ)に助けられている気がする。」

制約とは、自由を制限するものではなく、自由に発想するための起点となるものなのかもしれません。
工藤さんのモノ作りの話を聞きながら、そんなことを思いました。

無数の布片と作家の感性。
一期一会が生み出す布の芸術と出逢いに来てください。

開催概要

期間 2025年03月15日(土) ~ 03月23日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 工藤由美
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩5分

小林裕之・希 ガラス作品展 

~ 2025年 3月 01日

小林さんご夫妻のガラスの魅力。
それはガラスによって映し出された「影」の美しさではないかと思います。

透明なガラスを通って落ちた光。
その先に生まれた影は、美しいレースのようにガラスの足元を彩ります。

ガラスが放つ光と、その光が生み出す美しい影。
両者が織りなす「光」と「影」の世界をお楽しみください。

今回の展示では、小林さんご夫妻の作品をより楽しんでいただくための2つの企画を準備しました。

(コラボ作品)
木工作家の南祐基、船木智仁さんにお願いし、それぞれの個性が光るコラボ蓋物を制作しました。

茶会 光明 ~ 雲南旅話 ~ (茶絲道 堀口一子)

小林裕之・希さんの個展に合わせ、茶人 堀口一子さんによる茶会を開催いたします。自然茶研究を通し、茶の可能性を追究する堀口さん。三月はじめに旅をする雲南のお話を伺いながら、小林さんご夫妻の器でお茶を楽しんでいただければと思います。
詳細はこちらから

開催概要

期間 2025年3月29日(土) ~ 04月06日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 小林裕之・希 / 在廊日:3月29日(土)・30日(日)
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から井の頭通りを徒歩5~10分

齋藤一 (saito makoto) 陶展

~ 2025年 2月 19日

器の上を踊るたくさんの刷毛目。
その間から垣間見られる幾重もの色。

齋藤さんが作る器は、まるで印象派の絵画のようです。

半磁器で成形した器の上に化粧土を刷毛で塗り重ね、その上から刷毛を使って釉薬を塗り重ねる。
彼の作品はこうして生み出されます。

現在の方法になったのは数年前からで、それまでは刷毛ではなくスポンジを使い、手跡を消すように塗り重ねていたと言います。

制作方法の変化について、「軽やかになりたかった」と彼は言います。

この変化は、単に使う道具が変わったということではありません。

以前の方法が、目的地に向かう一本道を、脇目も振らずに進むことだとしたら、現在の方法は、自由に道を選びながら、その歩み自体を楽しもうとしているようにも思えます。

彼の変化は、「べき論」に支配された美術界に反旗を翻し、自然を、人を、光を、移ろいゆくその様までをも、感じたままに描き出そうとした印象派の画家たちのようにも思えます。

彼の作品は、「静」から「生」へと変化をしたのではないでしょうか。

静かに躍動する齋藤一さんの器と逢いに来てください。

開催概要

期間 2025年03月01日(土) ~ 03月09日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 齋藤一 (saito makoto)
2014年金沢美術工芸大学工芸科卒業。愛知県瀬戸市にて、化粧土や釉薬の複層的な加飾によって奥行きのある色彩豊かな作品を制作する。
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩5分

オノエコウタ(onoe kota) 個展 2025

~ 2025年 1月 26日

作品完売のため22日(土)までpoooLはお休みとなります。追加納品がありますので、23日(日)の最終日のみ営業します。

切り口、繋ぎ目、独特の歪み。
オノエさんらしい意匠の上に、生々しいキズ跡や、落書きのようなエッチングが加えられた今回の作品。

柔らかな乳白色と対照をなすそれらの痕跡が、時に痛々しく、時に楽しげに見えます。

この作品について、彼は「もっと遊んでみたくなった。」と言いました。
と同時に「もっと実用的にしたいと思った。」とも言いました。

より実用的であることは、彼が「もっと遊ぶ」ための土台ではないかと思います。

半年前、彼に話を聞いた時「 ”プロダクト “ と “ 自分らしさ “ のバランスが面白い」と言っていました。

彼にとって「プロダクト」は、規格、均一、均質を意味するもので、そういったものとバランスさせることで「自分らしさ」の出力量を調整していたように思います。

そしてそれが作品の「実用性」を担保していたと思っています。

しかし、常に綱引きが要求されるこのやり方では、「もっと遊ぶ」ことが難しくなったのではないでしょうか。

だから彼は「実用性」を高めることで、そのための土台を作ったのだと思います。

新しい作品には陶器ではなく磁器が用いられています。
陶器よりも硬く、密度の高い磁器を用いることで、沁み込みにくく、欠けにくくなりました。

「これまで色々なやり方(制作)にチャレンジしてきたけど、初めてやり甲斐のようなものを感じた。
 この感覚を忘れないようにしたい。」

オノエさんはこう言います。

コップに水を注ぐと、ある日突然溢れる出る時がきます。
それと同じく人の中に溜まり続けたものも、ある日突然溢れ出るものなのかもしれません。

この作品はオノエさん自身を映し出した鏡なのかもしれない…。
ふとそんなことを思いました。

だからでしょうか。
その姿は私自身(=人間)のようにも思えます。

開催概要

期間 2025年2月15日(土) ~ 02月23日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 オノエコウタ(onoe kota)
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩5分

小林克久 OVALBOX 2024

~ 2024年 11月 22日

小林克久さんが作るオーバルボックスは、一般的なシェイカーボックス(オーバルボックス)よりも厚みがあり、スワロウテイルと呼ばれる止めの部分が力強くて温かみがあるのが特徴です。

オーバルボックスの制作を始めたのは、木工小物を作る際に生じる端材が勿体無いと思ったことがきっかけだそうです。
曲げわっぱなどの日本古来の曲木細工の製法を参考に、独学で制作を始めたと言います。

彼が独自の制作方法に辿り着いたのは、シェイカーボックスを作ろうとしたからではないから。
そんな風に思います。

彼にとってシェイカーボックスは、単なる意匠(デザイン)に過ぎなかったと思うのです。
だから自らの足元に根付く作り方を応用してみようと思いたち、模倣とは異なる独自のものへと辿り着けたのではないでしょうか。

どこか懐かしく、そしてしっくりくるオーバルボックス。
それは和魂洋才のジャパニーズオーバルボックスなのではないかと思います。

今回の展示では、優しい色味が魅力のミルクカラーのハンドル付きのシリーズ、久しぶりに再開したという漆のシリーズなど、多様な作品を楽しんでいただければと思っています。

※シェイカーボックスとは、プロテスタント宗派の一つであるシェイカー教徒たちが作っていたものです。

※ 一部の作品は 12月03日(火)から online shop でもお買い求めいただけます

開催概要

期間 2024年11月30日(土) ~ 12月08日(日) ※月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 小林克久
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11, ブルーメゾン吉祥寺 1F (地図 google map)
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

三人展【 調 和 】永木卓 & 堀宏治 & 高木浩二

~ 2024年 11月 11日

「調和」とは、単なる組み合わせの良さを意味するのではないと思う。

互いが、互いの存在を受け止め合うことで生まれるバランス状態。
それを「調和」と呼ぶのではないでしょうか。

調和を生み出すものの中には、
他者を受け入れる「空席」があるのではないかと思うのです。

それぞれの作家が設けた「空席」に想いを巡らせ、
皆さんの暮らしの中の調和へと
想像をつなげていただけたらと思います。

出展作家のご紹介

永木卓 (RITO GLASS) Eiki Taku(ガラス / 松本)

永木さんにとって使うものを作ることは、外の世界との接点なのではないかと思います。

人が生きていくために身体(肉体)を必要とするように、彼は使うものを作ることでこの世界とつながり、そして生きているのではないかと思うのです。

彼は言います。

「ただ容器であること
 ぼくが作るガラスの器はそれ以上でも以下でもありません
 容れるなにかがあり それを使うだれかがいる
 そんな なにかとだれか をつなぐ器という灰色のような道具を
 ぼくは作りたい」

おしゃべりを得意とせず、もの静かに佇み受け容れること、
寡黙に空っぽであること
それが自分が作る器たちの専らの仕事なのだと言う永木さん。

彼が設けた「空席」は、相手に委ねられている気がします。
静かに佇み、来るものを受け容れる。
そんな場所なんじゃないかと思うのです。

- https://www.instagram.com/ritoglass/

堀宏治saito makoto(木 / )

堀さんは以前、鎌倉の古民家に暮らしていました。

彼が愛したその家の、窓際で飲むお茶の時間。
彼が好きな陶器と一緒にテーブルの上に置きたいもの。
それが堀さんが作りたいものです。

彼は言います。

「手の込んだ装飾や、華やかなデザインも美しいと思う。
 そういうものがテーブルの上にあるのもいいなと思う。
 でも、どうにもしっくりこないんです。
 まるでお寺にある洋食器みたいな、
 そんな違和感を感じるんです。」

大切なものは生活の中にあるという堀さん。
そんな彼だからこそ、華やかであることよりも、暮らしに溶け込むことを大切にするのだと思います。

その場所に溶け込みながら、
共にあるものを静かに受け止める

時間と共にゆっくりと変化し、
朽ちていく美しさを感じられる

木という素材だからこそ表現できるのだと彼は言います。

彼が設けた「空席」は、彼が愛した古民家のように、
全てを温かく受け止めて、調和の礎を築くもの
そんな場所なのではないかと思います。

- https://www.instagram.com/hori.ppe/


高木浩二Takaki Kouji(陶 / )

高木さんにとって、作ることは生きることそのものなのではないかと思います。

大学で芸術論を学び、学芸員になることを模索しつつも、作り手(作家)になることを選んだ高木さん。
そこには若い高木さんが関心を寄せた一人の陶芸家の存在があったようです。

折しも社会は便利さを求め、消費社会に向かって急激な変化を遂げていた時。
路上で作品の販売しなが生きるその陶芸家の中に、消費社会で生きることとは別のリアリティを見出したのではないかと思います。

身体感覚が伴うこと
それが生きるということだと
彼は直感的に感じ取ったのではないでしょうか。

そんな高木さんだからこそ、
人が一人では生きられないように、モノも一つでは存在できないということを
誰よりも理解していると思うのです。

と同時に、全てを受け入れることは難しく、そんな必要がないことも知っているのだと思うのです。

彼が設けた「空席」は、自分と巡り合うもののために空けられている。
そんな気がしています。

- https://www.instagram.com/koji_takagi17/


開催概要

期間 2024年11月16日(土) ~ 11月24日(日) ※月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 永木卓 (ガラス) & 堀宏治 (木) & 高木浩二 (陶)
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11, ブルーメゾン吉祥寺 1F (地図 google map)
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

南 裕基 (Minami Yuuki) 木工展

~ 2024年 10月 29日

作家として活動を始めた頃、南さんはお客様が求めるもののことばかり考えていたと言います。

モノ作りとはそういうもの。
そんな風に思い込んでいたと言います。

「お客様目線」のモノ作り。
それは彼にとってしっくりくるものではありませんでした。

それ(お客様目線のモノ作り)は、自分よりも大手(ブランドなど)の方が得意なのことではないのか?
だとすると、自分がそこにに参入する意味はあるのか?

何か流行れば、皆が一斉に似たようなものを作り始めるSNS時代。
皆と同じものを作る必要があるのか?

そんなことを思っていたら、自然と「自分目線」のモノ作りへ行き着いたのだと言います。

南さんは言います。

「お客様がどうかではなく、自分が使いたいものを作ろうと思った。
 自分の中に ”使いやすい”、”使いにくい” の基準があって、それを満たせば同じように感じ、
 それを求めてくれる人がいるのではないかと思った。」

自分の中へと目を向け直し、そうして生まれたものたちが、お客様から愛される「定番」へと育ってゆきました。

そうして一つの道を切り拓いた南さんは、今、次の一歩を踏み出そうとしています。
「一点もの」の制作です。

作り慣れた「定番」は、上手に安定して作れる反面、作る行為そのものがどんどん機械的になっていきます。

「作ることに対するモチベーションが保てない…」
彼はそう言いました。

手を動かしながら考えて、考えながらまた手を動かす。
そうして目の前にあるものを変えていく。
これが本来の自分の性分だという南さん。

そんな彼だからこそ、ただ機械的に手を動かすだけになっていきそうな自分対して危機感を覚えたのではないかと思います。

彼は今、「一点もの」の制作ということを通して、作ることのダイナミズムを取り戻そうとしているのではないかと思います。

今回の展示では、そんな南さんのチャレンジを楽しみつつ、それによって「定番」たちに吹き込まれた新たな息吹感じていただけたらと思います。

南裕基さんという作家さんが持つ
そのエネルギーをみなさんと一緒に感じられたらと思っています。

※一部作品はオンラインショップで5日(火)から順次にご覧いただけます。

開催概要

期間 2024年11月02日(土) ~ 2024年11月10日(日) ※火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 南裕基 (Minami Yuki)
作家在廊日 11月2日
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

中根 嶺 Ren Nakane 作品展

~ 2024年 10月 14日

「シンプルなこと」を生業としていたいという中根さん。

素材と向き合い、手を加えることで形が変わり、そこに機能や美醜が生まれ、それが誰かの役に立つ。
昔から変わらない作り手の営み。

そんなシンプルでプリミティブなところが、モノづくりを生業とすることのモチベーションになっているそうです。

陶芸家のお父さんと染職家のお母さん。
それぞれの工房を兼ねた中根さんの実家は山の奥深くにあり、中学を卒業するまで彼もそこで育ちました。

TVも映らないほどの山の奥。
子供の頃の遊びといえば、自然と戯れたり、工作をすることでした。

動植物や季節の変化
色や音、光、香り
生と死

今になって振り返ってみると、山の中はたくさんの情報で溢れていたと言います。

「人は自然の一部であり、自己の延長線上に自然がある」
自然の中で育った彼は、最もシンプルで、最も大切なことを身体に刻んだのだと思います。

だからこそ彼は、生きるための「生業(なりわい)」としてモノを作ることを選んだのではないでしょうか。

そんな中根さんの姿の中に、真の芸術は人々の生活の中にあると説き、その実践を試みた宮沢賢治の姿が思い出されます。

今回の展示では、一枚の銅板を金槌で打ち起こしていく「鎚起」の技法や、何種類もの当金(あてがね)を用いながら叩き絞ることで成形をしていく「絞り」の技法を用いて作られた銅の薬缶や、真鍮と和紙を組み合わせて作られた照明器具などをご覧いただければと思います。

※即売作品(銅器、カトラリー、照明)
オーダー作品(薬缶、ドリップポット、鍋など)は納期1年

開催概要

期間 2024年10月19日(土) ~ 10月27日(日)  ※月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00 ※最終日は17:00まで
作家 中根 嶺 Ren Nakane
作家在廊日 19日(土)
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

佐野元春 作品展

~ 2024年 9月 15日

日常に用いられる道具の中で、美的要素を兼ね備えたものを工芸品と呼ぶのだとしたら、その作り手に求められるのは、道具としての本分(機能性や有用性)を損なわないようにしながら、いかに自らの個性(美的なもの)を付与するかということではないでしょうか。

工芸品におけるモノ作りとは、道具であることと、美的であることの間の「落とし所」を見つけることなのではないかと思います。

佐野さんにとっての「落とし所」はどこなのだろう?
彼は自分が作るものに対し、どんな個性(=美的なもの)を与えたいのだろう?

そんなことが気になりました。

彼は言います。

「使ってくれる人に色んな想像してもらえたら嬉しいし、自由に使ってもらいたい。
 主役は器に入れられたものなので、器自体はシンプルで、余白が綺麗に見えるように心がけている」

シンプルで余白が綺麗に見える器

彼の言う「余白」というものが、単に「器の上」に生じる余白のことだけではなく、その器があることによって生まれる「暮らしの中」の余白、器を使う人たちの「頭の中」に生じる余白までをも含むものなのだとしたら…。

それは、「余白」が受け止めた ” 使い手の個性 “ によって立ち現れる ” 作り手の個性” があるということであり、彼はそんな個性(= 美的なもの)を作品に与えようとしているのではないかと思いました。

「我を無くしたところに我が立つ」
そんな禅の思想に通づるものを感じます。

いろんなことを試してみたいし、やってみたいという佐野さん。
定番の白いシリーズとは異なる、土の存在を強く感じる作品作りにも取り組んでおられます。

今回の展示では、定番に加え、そんな新たな作品もお楽しみいただければと思います。

開催概要

期間 2024年09月21日(土) ~ 09月29日(日) ※月,火,木曜日お休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 佐野元春
場所 poooL
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-12, ブルーメゾン1F
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

奥澤 華(金工) × 村上祐仁(陶器)

~ 2024年 8月 31日

〜 「飲むこと」にまるわるもの 〜

人々がコミュニケーションする場には、いつもなにかしら飲むものがあるように思います。

お茶、お酒、コーヒー、紅茶etc…
多種多様な飲みものが、私たちのコミュニケーションの場に寄り添い、潤滑油の役割を果たしてきました。

だから私たちは、昔から「飲むこと」にまつわる道具にこだわってきたのではないかと思います。

今回、この展示会を企画するにあたり、村上祐仁(陶)さんと奥澤華さん(金工)の二人の作家さんにお願いしました。

お二人の共通点は、静的なものとして「物」を捉えるのではなく、物を介し、そこに関わる人をも含めた動的なものとして考えているところです。

そんなお二人だからこそ、コミュニケーションの場に欠かすことのできない「飲むこと」にまつわる道具を作っていただくのにぴったりだと思いました。

二人の作家が生み出す「飲むこと」にまつわる道具たちをお楽しみいただけたらと思います。

※ 一部作品は9日(月曜日)から順次online shopでご覧になれます。

<村上祐仁さん>

「こんなものがあったらいいな。」
そんなお客様の問いかけには、つい応えてみたくなるという村上さん。

お客様の声を聞くことで、自分の中の引き出しが増えていくように感じるのだと言います。

村上さんにとって器を作ることはコミュケーションすることなのではないか。
そんな風に思いました。

言葉を使ったコミュニケーションが決して一人ではできないように、彼のモノ作りもまた、たくさんの人々との繋がりの上に成り立っているのだと思います。

「コロナがあったことで自分の方向性がはっきりした」という村上さん。

器を通じて人と繋がりたいという彼の思いが、人と人との繋がりが遮断された社会を経験したことで、よりはっきりと浮かび上がって来たのだと思います。

そんな彼が作るものだからこそ、今回のテーマにピッタリなのだと思っています。

<奥澤華さん>

使っている時の所作が綺麗に見えるものを作りたい。
奥澤さんはこう言います。

例えば茶托。
豆皿の上に茶杯を乗せると持ちにくく、お茶を出す時の所作が美しくなくなる。
だから彼女は、皿の角を立て、掴み易い茶托を作りました。

例えば急須。
お手入れのし易さを考えて持ち手が倒れるように作っているが、注ぐ時に出る少しばかりのぐらつきが気になるそうです。
そんなストレスのない、注ぐ姿が美しくなる急須を作ってみたいのだと彼女は言います。

暮らしの中にあるものは、すべて「使う」という動作を伴っています。
言い換えるとそれは、使うという動作まで含み、物は物として成立しているということです。

だとすると、彼女が目指しているものは、単なる物としての美しさを超えた「物の美しさ」なのではないでしょうか。

「飲むこと」にまつわる道具が持つ社会性を考える時、彼女が求める美の在り方もまた、深い意味を持つものになるのではないかと思っています。

開催概要

期間 2024年09月07日(土) ~ 09月15日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 奥澤華 (8日在廊)、村上祐仁
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩5分

池田晴美 作品展

~ 2024年 7月 01日

高度な伝統技法が生み出す日用工芸品。
それが池田さんの作品です。

可愛らしいケトルにもその技術は用いられており、mm(ミリ)以下の単位で行われるその仕事は、神技としか言いようがありません。
(池田さんのモノづくりについては次回お話をしたいと思います。)

「伝統的な硬い技術も、日用工芸の品物に役立っていたりします。」
こう話す池田さん。
伝統技法を学び、それに縛られ、そして再び自由になれた彼女だからこそ言える言葉のように思えました。

子供の頃から、物を作ることは「自然な行為」だったという池田さん。
芸術高校で金工を専攻し、伝統技法を学ぶために金工で有名な富山の大学へ進学しました。

大学で高い技術を身につけた彼女は、作り手としてできることが広がりました。
しかしその一方で、学んだことに縛られてしまい、素直に制作することができなくなってしまったと言います。

そんな中、彼女の転機となったのは、市から依頼されたワークショップの開催でした。

「日常生活に親しみのあるものを、肩の荷を上手に降ろした状態で作れるようになった」
そう彼女は振り返ります。

伝統技術を学ぶことは、技術的にはもちろんのこと、思想的にも逸脱し難い「枠」のようなものがあったのではないかと思います。
それらは彼女を作り手として高みに導く一方で、そこに縛り、作り手としての自由を奪っていったのではないでしょうか。

ワークショップを通じ、純粋にモノづくりを楽しむ人々を目の当たりにすることで、彼女の中に再び子供の頃の感覚が蘇ってきたのかもしれません。

彼女は今年、非常勤講師として母校の大学で教えています。
作り手としてたくさん苦悩をした彼女は、技術だけでなく、作り手として生きることの厳しさや楽しさも伝えられる、そんな魅力的な先生なんじゃないかと思います。

開催概要

期間 2024年07月06日(土) ~ 07月14日(日) ※月,火,木曜日お休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 池田晴美
場所 poooL
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-12, ブルーメゾン1F
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

鳥山高史 (Toriyama Takafumi) ガラス展 2024

~ 2024年 6月 18日

ガラス工房 壜壥(たんてん) 鳥山高史さん

「土っぽいガラスが作りたい」という鳥山さん。
彼が言うところの ”土っぽい” の意味が、実はずっと気になってました。

お話を伺わせていただく中で、今回その意味がちょっとだけ垣間見られたような気がしています。

周囲はお金持ちばかりという高級住宅地の中、自身の家は厳しい経済状況にあったという鳥山さん。
早く自分で身を立てなければという思いが人一倍強かったと言います。

ガラスという素材を選んだのは、失敗してもリサイクルして作り直せる夢のような素材だったから。
お金のない学生には本当に有り難かったと言います。

ビジネスを知るためにベネチアングラスの会社で営業の仕事に就きました。
その後、ガラス作家に弟子入りして7年半の修行時代を過ごしました。

若い頃からガラスで身を立てるためにコツコツと努力を続けてきた鳥山さん。
彼の話を聞きながら、ふっとある考えが浮かびました。

鳥山さんにとってガラスは、実は自分にしっくりくるものではなかったのではないか?

昔、近所にあったお金持ちの家々のように、自分に接続していながらも何だかしっくりしないもの。
そんな存在だったのではないだろうか?

だから彼はそんなガラスとの距離を埋めるために、「土っぽいガラス」というイメージに辿り着いたのではないだろうか。

鳥山さんは言います。

「ガラス作家の仕事はアスリート。
残りは10年くらいだと思ってる。
そしてその10年には、これまで蓄積してきたことを踏まえて最も良いものが作れると思っている。」

作家としての人生を懸命に生きる中で、彼は自分にしっくりと馴染むガラスへと辿り着けたのかもしれない。

※展示期間中一部の作品はONLINE SHOPでも順次ご紹介予定。

開催概要

期間 2024年06月22日(土) ~ 06月30日(日) ※月,火,木曜日お休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 TANTEN glass studio / 鳥山高史
在廊日 6月22日(土)
場所 poooL
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-12, 101
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

オノエコウタ、中村智美 作品展

~ 2024年 5月 30日

オノエコウタさんと中村智美さんの二人展を開催します。

「同じ」があるから「違い」が際立つのだと言います。

同じ(=均質)と違う(=固有)のバランスをどこで取るか。
それが作家の個性ではないかと思っています。

陶芸作家 オノエコウタさんのバランスは固有性の方に寄っています。

自身の中から湧き出るものをその都度カタチにしようとすれば、バラツキが生じ、「正解」は分からなくなります。
それ故に生じる迷いや不安と対峙しながら、彼は自身の中に(自身の制作の中に)均質性を取り込む術を見出しました。

金物作家 中村智美さんは、均質への感覚が高い人なのではないかと思います。

彼女の実家は鉄工所を営んでおり、彼女もそこで働いていました。
設計図を元にしたモノ作りで求められるのは均質であること。
その価値を知った上で、彼女は自身の中にある固有なものを積極的に表現しようとしているように思えます。

扱う素材も違えば、歩んできた道も違う二人。
それぞれが見出した「同じ」と「違う」の間のバランスの取り方を楽しんでいただければと思います。

開催概要

期間 2024年06月08日(土) ~ 06月16日(日) 月、火、水曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 オノエコウタ(onoe kota)、中村智美(nakamura tomomi)
場所 poooL 新店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-11 #101
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩5分

只木芳明 作品展

~ 2024年 4月 24日

開催中の只木芳明さんの展示会は、作品が完売いたしました。

「モノを作るということを通して社会と繋がり、偏見や差別と向き合い、対話を持ちたい。」
木工作家というご自身の仕事の意味をそんな風に考えている只木さん。

手彫りならでは彫り跡や、1つ1つ異なるカタチ。
彼の作品の魅力を挙げたらキリがありませんが、そんな魅力溢れるモノたちが生み出される礎となっているのが、この魅力的な考えなのだと思います。

「魅力的な思いから生み出された魅力的なモノ」
それは自然の摂理のように当たり前のことなのかもしれません。

※ 今回の展示は予約制では有りません。お並びのお客様が多い場合は整理券を配布いたしますのでご理解の上、来場お願いします。

開催概要

期間 2024年04月27日(土) ~ 05月05日(日) 火、水、木曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 只木芳明
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

西別府久幸 / 小さな惑星

~ 2024年 4月 04日

花屋 西別府商店の店主、西別府久幸さんが手がける作品展です。

植物を独自の目線で見立て、オリジナリティ溢れる作品へと創り上げてゆく西別府さん。
それはまるで「生物」と「無生物」の境界線の住人のようにも見えます。

今回の展示では古い道具を用いた植物の作品や、植物と金属や廃材を組み合わせたオブジェを展示販売いたします。

彼が織りなす「植物の世界」と出逢いに来てください。

オンラインショップにで一部の作品販売予定

開催概要

期間 2024年04月13日(土) ~ 04月21日(日) ※火水木曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00 ※最終日は17:00まで
作家 西別府久幸
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

オオタ硝子研究室 (太田良子) 展

~ 2024年 3月 11日

学生の頃から実験が好き。
理科化学のビーカーが好きで、白衣に対する憧れがあった。

「太田」という漢字は好きじゃないけど「硝子」という漢字は好き。
一人でコツコツやるイメージだから「研究所」ではなく「研究室」がいい。

こうして生まれたのが「オオタ硝子研究室」という作家名だそうです。

作り手に関する情報はなるべく少ない方がいい。
男なのか、女なのか、そんなことすら分からない方がいい。

誰が作ったかではなく作品自体を見て欲しい。
十年前に名付けたという名前には、そんな思いが込められています。

「割れてしまうからこそ硝子が好き」
永遠ではないその儚さに、美しさを感じると言うオオタ硝子研究室さん。

有限性に根ざすガラスの美しさは、目の前にある存在そのものに意識を向けなければ見出せないものなのだと思います。

SNSが発達し、誰もが「自分を売る」ことに躍起になっている今の時代。
「何」ではなく「誰」の方が重要視されるこの時代。

私たちは目の前にあるものにではなく、そこに冠された記号(= 誰が作ったか、どこのブランドか)の方に目を奪われ、それを欲しているに過ぎないのかもしれません。

「作り手の情報はなるべく少ない方がいい。作品自体を見て欲しい。」

それはただ、目の前にある存在に意識を向け、その存在を感じて欲しい。
そんなシンプルな思いなのかもしれません。

開催概要

期間 2024年03月16日(土) ~ 03月24日(日) ※火水木曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00 ※最終日は17:00まで
作家 太田良子, 在廊日17日
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

村上圭一 木工展

~ 2024年 2月 27日

「木という素材の持つ魅力は、木目、色味、割れ、節、虫食いなど、(木が)自然の中で生きていた痕跡だと思います。
 その表情を生かし、魅力を引き出せる表現をしながら、道具としての機能を持たせるように意識しています。」

木工作家 村上圭一さんは、ご自身のモノ作りについてこうおっしゃいます。

木に残された生の痕跡は、素材ごとの差異であり、それは作り手にとって必ずしも歓迎すべきものではないと思います。
差異を掬い上げて生かそうとすれば、モノ作りは非効率になり、面倒なものになると思うからです。

しかし彼は意識してそれを行うのだと言います。

「作りたいものは日々頭の中にイメージされますが、忘れてしまうものもあります。
 そうしてずっと頭に残り続けているものが作りたいものということになりますが、素材と出会った時にその形がはっきりと見えたものが作りたいものだと思っています。」

素材と出会い、向き合うことで見えるもの。
生の痕跡を掬い上げ、それを生かすためのモノ作り。

それはたとえ同じ形であっても、決して同じものになることのない、そんなモノ作りの在り方なのだと思います。

それは木に対する彼の深い敬意の表れであり、作家 村上圭一さんの「生」に対するスタンスそのものなのだと思います。

私たちは彼の作品のすべてに、その多様な生の痕跡を見出すことができます。
そしてその痕跡こそが彼の目線であり、彼の作品の魅力です。

作家 村上圭一さんが作品を通して私たちに見せてくれる、そんな温かな視線と出逢いに来てください。

開催概要

期間 2024年03月02日(土) ~ 03月10日(日) ※火水木曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00 ※最終日は17:00まで
作家 村上圭一
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分

増渕 篤宥 陶展

~ 2024年 2月 02日

「お前は陶芸家か?
そう聞かれると少し違うような気がします。
土を焼いて何かにする仕事全般を陶芸家と呼ぶのは少々乱暴な気もするし、実に多様なジャンルを持った仕事だと思う。
では自分は何者なのか?
そう考えてみると、用途を持って何かを入れたり、盛ったりする道具を作る陶器屋、入れ物屋といったところでしょうか。」

増渕篤宥さんはご自身についてこう話をしてくれました。

“ 陶芸家 “ というのが多様なジャンルを持った仕事であるとするならば、逆に陶芸家であってもいいはずです。
じゃあなぜ彼は“ 陶芸家 “ という自分にしっくりこないのか?
ふとそんな疑問が湧きました。

先の話には「独立するまで窯元での職人仕事に従事してました。」という前置きがあります。
“ 陶芸家 “の自分にしっくりこない彼は、じゃあ自分のことを ” 職人 “ と思っているのかというと、それも違うように思います。

彼にとって ”職人“ であることは、必要条件であって十分条件ではないように思うのです。

太古の昔から人は道具を作り続けてきました。
遠い昔、人は自分が必要とするものを自分で作りました。
作る人と使う人は同一でした。

歴史が進むにつれ、作る人と使う人が分離されるようになりました。

自分が使うものであれば、衝動に駆られて手を動かすだけで使い勝手の良いものが生まれたけれど、他者が使うもの(=道具)を作るようになった時、作り手は使い手の用途(意図)を思い描き、それに応えるものを考え、形にすることが必要になりました。

自分ではない誰かが使うものを作るようになったその時に、デザイン(design)という概念が生まれたのだと思います。

そして同時に、人間の思い(衝動)のままに生み出されたものは、それを受け止め、鑑賞する対象(=アート、art)として区分されていったのだと思います。

とはいえ、何かを作る(生み出す)ということは、作り手の思いなくしては成し得ないものです。

アートが作り手の思い(衝動)の一方的な噴出であるのだとしたら、デザインは「使い手の意図」というフレームを通し、作り手の思いを出力したものではないでしょうか。

そして、作り手の思いを低く抑えているのが ” 職人 “ であり、強く押し出そうとしているのが ”陶芸家 “なのではないかと思います。

増渕さんにとっては、使い手の意図(用途)に応えること(=機能性)も、ご自身の中にある思い(=作りたいもの)をカタチにすることも等しく重要なことなのだと思います。

常にその落とし所を探りながらモノ作りと向き合っているからこそ、自分が「陶芸家」であることにも、単なる「職人」であることにも距離を感じているのではないかと思いました。

今回の展示会について「見せたいものやテーマなどがありますか?」と聞いてみたところ、こんな答えが返ってきました。

「美術工芸未満のどこか、手の届く、用途を持った入れ物。
 食器から蓋物や香炉などの一点物。」

陶芸家でも職人でもない、増渕篤宥さんという作り手の着地点(=落とし所)を楽しんでいただければと思います。

※ 2/22日から一部作品はオンラインショップでご覧になれます。

開催概要

期間 2024年02月17日(土) ~ 02月25日(日) ※火水木曜日休み
時間 12:00 ~ 18:00 ※最終日は17:00まで
作家 増渕 篤宥
場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分