三人展【 調 和 】永木卓 & 堀宏治 & 高木浩二
~ 2024年 11月 11日
「調和」とは、単なる組み合わせの良さを意味するのではないと思う。
互いが、互いの存在を受け止め合うことで生まれるバランス状態。
それを「調和」と呼ぶのではないでしょうか。
調和を生み出すものの中には、
他者を受け入れる「空席」があるのではないかと思うのです。
それぞれの作家が設けた「空席」に想いを巡らせ、
皆さんの暮らしの中の調和へと
想像をつなげていただけたらと思います。
- 出展作家のご紹介
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永木卓 (RITO GLASS) Eiki Taku(ガラス / 松本)
永木さんにとって使うものを作ることは、外の世界との接点なのではないかと思います。
人が生きていくために身体(肉体)を必要とするように、彼は使うものを作ることでこの世界とつながり、そして生きているのではないかと思うのです。
彼は言います。
「ただ容器であること
ぼくが作るガラスの器はそれ以上でも以下でもありません
容れるなにかがあり それを使うだれかがいる
そんな なにかとだれか をつなぐ器という灰色のような道具を
ぼくは作りたい」おしゃべりを得意とせず、もの静かに佇み受け容れること、
寡黙に空っぽであること
それが自分が作る器たちの専らの仕事なのだと言う永木さん。彼が設けた「空席」は、相手に委ねられている気がします。
静かに佇み、来るものを受け容れる。
そんな場所なんじゃないかと思うのです。堀宏治saito makoto(木 / )堀さんは以前、鎌倉の古民家に暮らしていました。
彼が愛したその家の、窓際で飲むお茶の時間。
彼が好きな陶器と一緒にテーブルの上に置きたいもの。
それが堀さんが作りたいものです。彼は言います。
「手の込んだ装飾や、華やかなデザインも美しいと思う。
そういうものがテーブルの上にあるのもいいなと思う。
でも、どうにもしっくりこないんです。
まるでお寺にある洋食器みたいな、
そんな違和感を感じるんです。」大切なものは生活の中にあるという堀さん。
そんな彼だからこそ、華やかであることよりも、暮らしに溶け込むことを大切にするのだと思います。その場所に溶け込みながら、
共にあるものを静かに受け止める時間と共にゆっくりと変化し、
朽ちていく美しさを感じられる木という素材だからこそ表現できるのだと彼は言います。
彼が設けた「空席」は、彼が愛した古民家のように、
全てを温かく受け止めて、調和の礎を築くもの
そんな場所なのではないかと思います。
高木浩二Takaki Kouji(陶 / )高木さんにとって、作ることは生きることそのものなのではないかと思います。
大学で芸術論を学び、学芸員になることを模索しつつも、作り手(作家)になることを選んだ高木さん。
そこには若い高木さんが関心を寄せた一人の陶芸家の存在があったようです。折しも社会は便利さを求め、消費社会に向かって急激な変化を遂げていた時。
路上で作品の販売しなが生きるその陶芸家の中に、消費社会で生きることとは別のリアリティを見出したのではないかと思います。身体感覚が伴うこと
それが生きるということだと
彼は直感的に感じ取ったのではないでしょうか。そんな高木さんだからこそ、
人が一人では生きられないように、モノも一つでは存在できないということを
誰よりも理解していると思うのです。と同時に、全てを受け入れることは難しく、そんな必要がないことも知っているのだと思うのです。
彼が設けた「空席」は、自分と巡り合うもののために空けられている。
そんな気がしています。
開催概要
期間 2024年11月16日(土) ~ 11月24日(日) ※月、火、水曜日休み 時間 12:00 ~ 18:00 作家 永木卓 (ガラス) & 堀宏治 (木) & 高木浩二 (陶) 場所 poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分