~ 2024年 9月 30日
不完全さの中に宿る美しさ
陶芸家 矢萩誉大さんは、自身の作品にそんな美しさを込めたいと思っています。
ある時、彼はレストランで使われている自分が作った白磁のプレートを目にしました。
フチが欠け、カトラリーでキズのついたプレートを見ながら、そのダメージが「景色」のように見え、その姿に心が震えたと言います。
それは、大学の研究制作で、西洋美術の欠損のある彫刻や、発掘された壺、詫び錆びを感じる器などに時の流れを感じ、先人達の想いに心が震えた時と同じでした。
作り手の想いを超え、人の手が及ばない変化がもたらした「不完全」な姿。
その姿は永遠ではなく、「今」を映し出しているに過ぎないという儚さを孕んでいること。
そんな不完全さの中に宿るものに、彼は美しさを見出し、心揺さぶられたのだと思います。
だから彼は、完成した器の姿を自らの手で崩すことで、その本質的な姿を現そうと模索しているのです。
完全さに抗う彼のモノづくりは、「静物」を「生物」へ変えるための儀式のようにも思えます。
今回の展示会では、器の他に、オブジェなどにも挑戦してくださっています。
矢萩さんの新たな試みを、展示会場でぜひご覧頂ければと思います。
開催概要
期間 |
2024年10月05日(土) ~ 10月13日(日) ※月、火、水曜日休み |
時間 |
12:00 ~ 18:00 ※最終日は17:00まで |
作家 |
矢萩 誉大 |
作家在廊日 |
5日(土) 13:00~ |
場所 |
poooL 本店
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-12-9 #105
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分 |
~ 2024年 9月 15日
日常に用いられる道具の中で、美的要素を兼ね備えたものを工芸品と呼ぶのだとしたら、その作り手に求められるのは、道具としての本分(機能性や有用性)を損なわないようにしながら、いかに自らの個性(美的なもの)を付与するかということではないでしょうか。
工芸品におけるモノ作りとは、道具であることと、美的であることの間の「落とし所」を見つけることなのではないかと思います。
佐野さんにとっての「落とし所」はどこなのだろう?
彼は自分が作るものに対し、どんな個性(=美的なもの)を与えたいのだろう?
そんなことが気になりました。
彼は言います。
「使ってくれる人に色んな想像してもらえたら嬉しいし、自由に使ってもらいたい。
主役は器に入れられたものなので、器自体はシンプルで、余白が綺麗に見えるように心がけている」
シンプルで余白が綺麗に見える器
彼の言う「余白」というものが、単に「器の上」に生じる余白のことだけではなく、その器があることによって生まれる「暮らしの中」の余白、器を使う人たちの「頭の中」に生じる余白までをも含むものなのだとしたら…。
それは、「余白」が受け止めた ” 使い手の個性 “ によって立ち現れる ” 作り手の個性” があるということであり、彼はそんな個性(= 美的なもの)を作品に与えようとしているのではないかと思いました。
「我を無くしたところに我が立つ」
そんな禅の思想に通づるものを感じます。
いろんなことを試してみたいし、やってみたいという佐野さん。
定番の白いシリーズとは異なる、土の存在を強く感じる作品作りにも取り組んでおられます。
今回の展示では、定番に加え、そんな新たな作品もお楽しみいただければと思います。
開催概要
期間 |
2024年09月21日(土) ~ 09月29日(日) ※月,火,木曜日お休み |
時間 |
12:00 ~ 18:00 |
作家 |
佐野元春 |
場所 |
poooL
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-12, ブルーメゾン1F
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分 |