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佐野元春 作品展

~ 2024年 9月 15日

日常に用いられる道具の中で、美的要素を兼ね備えたものを工芸品と呼ぶのだとしたら、その作り手に求められるのは、道具としての本分(機能性や有用性)を損なわないようにしながら、いかに自らの個性(美的なもの)を付与するかということではないでしょうか。

工芸品におけるモノ作りとは、道具であることと、美的であることの間の「落とし所」を見つけることなのではないかと思います。

佐野さんにとっての「落とし所」はどこなのだろう?
彼は自分が作るものに対し、どんな個性(=美的なもの)を与えたいのだろう?

そんなことが気になりました。

彼は言います。

「使ってくれる人に色んな想像してもらえたら嬉しいし、自由に使ってもらいたい。
 主役は器に入れられたものなので、器自体はシンプルで、余白が綺麗に見えるように心がけている」

シンプルで余白が綺麗に見える器

彼の言う「余白」というものが、単に「器の上」に生じる余白のことだけではなく、その器があることによって生まれる「暮らしの中」の余白、器を使う人たちの「頭の中」に生じる余白までをも含むものなのだとしたら…。

それは、「余白」が受け止めた ” 使い手の個性 “ によって立ち現れる ” 作り手の個性” があるということであり、彼はそんな個性(= 美的なもの)を作品に与えようとしているのではないかと思いました。

「我を無くしたところに我が立つ」
そんな禅の思想に通づるものを感じます。

いろんなことを試してみたいし、やってみたいという佐野さん。
定番の白いシリーズとは異なる、土の存在を強く感じる作品作りにも取り組んでおられます。

今回の展示では、定番に加え、そんな新たな作品もお楽しみいただければと思います。

開催概要

期間 2024年09月21日(土) ~ 09月29日(日) ※月,火,木曜日お休み
時間 12:00 ~ 18:00
作家 佐野元春
場所 poooL
東京都武蔵野市吉祥寺本町3-8-12, ブルーメゾン1F
tel. 0422-20-5180
JR・京王井の頭線吉祥寺駅北口から中道通りを徒歩10分