フユノシゴト フユノヘヤの展示を終えて

~ 2011年 12月 14日


フユノシゴト フユノヘヤの展示が終わりました。
冬の寒さをしばし忘れさせてくれるような心温まる展示ができたことを
嬉しく思っています。

いわもとさんが展示前、こんなことを言っていました。

 「器や実用的なものと違って、わたしがつくるのは その場の空気を
  作るもの。
  乱暴にいえば “なくてもいいもの”
  なぜなら、それがなくても生きていけるから。」

たしかに、彼女が生み出すものは、それがなくても生きてゆける、生活に
必要ないものなのかもしれません。
しかし、小さな花が、草が、枝が、ほんの少し近くにあるだけで心が潤う
ということを今回の展示を通じてしみじみと感じました。
ほんの少しの草花を求める気持ちと、そんな少しの草花が心を癒し、豊かに
してくれるということを知ること、それが人が生きるということなのかも
しれないと、いわもとさんが生み出す作品と空間が教えてくれたように思います。

彼女は言います。

「何もない自分が生きてゆくには、大切な一握りの人々と、心静かになれる場をつくる知恵だけでいいんだと思ったんです。
 そして、その知恵のひとつが、花を使った場をつくるということだったんです。」

花なんて見たくない・・・と思えるほど余裕のない時間を過ごしたこともあったという彼女。
そんな日々を乗り越え、彼女が見つけた答えだからこそ、そこには人々の気持ちを温かくさせる「何か」が宿っていたのでは
ないでしょうか。